駅はどこだ

JR北陸本線筒石駅といえば、全長11,353mの頸城トンネル内にホームのある「トンネル駅」「モグラ駅」として知られています。

1969(昭和44)年10月、地滑り災害の絶えない海岸沿いのルートを捨てて長大トンネルへと切り替えた際に、明かり区間から外れてしまう筒石駅はトンネル内へと移設されました。トンネル内のホームと地上との連絡は、建設時の斜坑を用いた階段での徒歩連絡です。新清水トンネル内の土合駅下り線ホームと同じですね。階段の横にエスカレータ等を設置可能なスペースが設けられているものの利用されていないのも、土合と同じ。

駅を出て、海沿いの筒石集落へ下ると、自転車歩行者道路に転用された旧線跡を確認することができます。当然、集落から離れて山側にある駅への案内標識もある……かと思いきや、「筒石駅」の文字は集落内にはなぜか見かけることができません。代わりに、こんな看板が。

ご丁寧にトンネル名まで案内しているのはともかく「斜坑入口」ってオイ。

「斜坑」を看板で案内するのは、おそらくは1972(昭和47)年11月6日に起きた北陸トンネル列車火災事故の教訓から、非常時の救難路として斜坑の場所を外部から把握しやすいようにとの意図かと推測します。実際、北陸トンネル周辺にも「北陸トンネル○○斜坑入口」の看板が見受けられるようです。なので、「斜坑入口」という看板自体は特段不思議でもないですが、筒石の場合は斜坑云々以前に「乗降可能な駅」なわけですから、ちゃんと「筒石駅」と案内してやったらどうよ?

ちなみに、筒石駅のトンネル内ホームは、北越急行美佐島駅のようにドアがロックされるわけではないので、通過列車がある場合でも出ることはできます。ただし、列車通過時にはかなりの風圧がかかるため、手でドアを開けるのは非常に困難。このときホーム上に出ていると待合室へ退避することができず、ホーム(これがまた狭い!)の壁にへばりついて手すりにしがみつき、最高130km/hの猛スピードで特急列車がすぐ傍を通過する恐怖に耐えなくてはならなくなります(←経験者談)。言うまでもなく危険なので、良い子も悪い子もマネしちゃだめだぞ。