そんなあだ名は嫌だ

205系に座席格納構造を有する6扉車サハ204が登場したとき、「乗客を貨物扱いか」との揶揄で「ワキ204」とあだ名されたことは有名です。後に209系やE231系に同様の6扉車が登場した際には、当然のごとく「ワキ208」「ワキE230」と呼ばれました。

山手線用E231系500番台に連結された6扉車、ワキE230サハE230。もっとも、2010年10月現在、4扉車への置き換えが進行中。

それはそうと、仙台地区で運用されている701系1000番台には「サハ700」が存在します。


もしこの車輌が座席格納式6扉車だったら「ワキ700」と呼ばれることとなったのでしょうか……それは嫌過ぎる。

実をいうと、ワキ700という貨車は過去に実在しました。1942(昭和17)年〜1943(昭和18)年にかけて、大井工場および大宮工場で計30両が新製された、自重20t、荷重30t、車長14,750mmという当時最大級の有蓋貨車ワキ700、その正体は大日本帝国海軍所有の私有貨車、積載物は空爆弾および魚雷横須賀線の逗子や田浦等、弾薬庫所在駅の常備とされ、海軍航空作戦を影で支えました。戦後は紆余曲折を経て国鉄所有となり、晩年は各地の車輌基地の片隅で救援車代用としてひっそり余生を送り、昭和50年代に形式消滅しています。